東京弁は感染るんです
四国の松山へ出張した帰りに神戸の実家に寄ってきた。
久し振りに生の関西弁が聞けて良かったが、自分の喋る言葉が東京弁に感染している以上に、行動様式も東京化していることがわかった。 例えば、エスカレータに乗るとき、東京では歩いて上がる人のために右側をあけるが、関西では左側をあける。普通は右利きの人が多いので右手でベルトにつかまって左側をあける関西方式のほうが自然のはずだが、東京の習慣が身についてしまってエスカレータでは右側を歩きたくなってしまうのだ。 では松山はどうだったかというと、空港のエスカレータでは歩いて上がる人がいなかったので関西方式か関東方式かわからなかった。
「あほぉ」とか「うそぉ」にかろうじて拍内下降が生き残っていることを1/7の今日の症状に書いたが、「でぶぅ」・「ちびぃ」・「ぼけぇ」・「はげぇ」など、ひとを馬鹿にするような類いの言葉には拍内下降が多く生き残っているように思う。
子どものころには「でぶぅ、でぶぅ、百貫でぶ」などとよく言ったものだ(ちなみに1貫は3.75kg)。 それなりに年齢を積み重ねていくと自分の発する言葉に自分自身で規制をかけたりするようになって、このような言葉を使うことはめったになくなってしまった。 関西弁で「あほぉ」とか「ぼけぇ」といっても、必ずしも相手を馬鹿にしているというわけではないんやけどね。
明日17日は神戸出身の私には忘れられない日である。
須磨の実家も震度7の激震地帯の上にあり、家は半壊状態であったが、家族、親戚一同全員無事だった。しばらくは連絡がとれず、ヘリから撮られた映像では須磨付近がどのようになっているのかもわからず、ずいぶんやきもきさせられた。 小さい地震が多発する東京にくらべて神戸は地震に無縁のように思われていて、東京に出てきたときも神戸の友人から、いつ大地震がくるかわからへんとこによおいくなぁと言われたものだった。 学校では習わなかったが、須磨断層とか芦屋断層とか布引断層とか阪神間には断層が何本も走っているのである。 神戸は当分地震の心配はないだろうが、関東・東海地方はそろそろ危ないのではないかと思う。
「福を呼びこもう!丸かぶり寿司。北北西に幸運が。どっちだ、陣馬山の方か。」
近所のコンビニにもう節分の巻き寿司の宣伝が貼ってあった。 関西では節分の日にその年の恵方を向いて巻き寿司を丸かぶりする風習があるが、最近関東地方にもこの習慣が広まってきたらしい。 この風習、大阪の寿司組合だか海苔業界だかが売上増を狙って20年ほど前に考え出したものだとある本に書いてあったが、私が小学生のころには節分の日に巻き寿司を丸かぶりしていた記憶があるのでもっと昔からあった風習ではないかと思う。 関西限定だったこのおもろい風習が関東地方で定着するかしないかはコンビニの販売戦略次第やね。
音節内に「さがりめ」のある単語でも「さがりめ」の無い単語と同じように発音するようになると東京弁の感染第0期の症状であると書いたが、ある調査によるとネイティブ大阪人でも20代ではほとんど「さがりめ」のある無しの使い分けができないのだそうだ。30代でも半数は使い分けができず40代以上になるとほぼ全員が使い分けられるらしい。
この「さがりめ」は拍内下降と言うそうで関西弁の特徴なのだが、今の若年層はこれをやめてしまったらしい。40代から下の世代というと生まれたときからテレビがあった世代で、テレビを通じて東京弁に感染してしまったのは明らかである。 「あほ^ぉ」とか「うそ^ぉ」(●^を高く発音する)にはかろうじて拍内下降が生き残っているようなので、なんとか救うことはできないだろうか。
年末に一応大掃除をしたはずなのに、もう家の中は散らかり放題である。
家が狭く収納スペースが少ないのも原因の一つである。関東の畳は関西の畳に比べて一回り小さいので当然押し入れも狭い。 京間の畳は江戸間に比べて長辺で15cmほど長いので面積にすれば1.2倍も広くなる。 神戸の実家には震災の前まで床の間もついた三畳の離れがあった。私の勉強部屋に使っていて友人が遊びに来ても2〜3人は泊まれる広さがあったが、関東の三畳では物置以外に使い道がない。 最近関西勢はお笑い以外に関東勢に勝ち目がないようだが、畳だけは関西に軍配が上がると思う。
江戸っ子気質で怒りっぽい東京人に比べて関西人は温和だというイメージがあるらしい。
関東ローム層の土壌はカルシウムの含有量が少なく、カルシウムの豊富な土壌に住んでいる関西人に比べて関東人は慢性的カルシウム不足で怒りっぽいという説がある。 私は外面が良いので外では温厚に振舞っているが、家に帰るといつも文句ばっかり言っていると女房子どもによく言われる。その上私の喋る関西弁が怒っているように聞こえるといわれる。 関東に出てきて長いのでカルシウム分が不足しているのだろうか。(土食ってるわけやないんやけどなぁ。。。)
東京ではほとんど馴染みがないが、関西では十日えびすが(1月9日〜11日)が初詣につづく正月の代表的な行事である。
大阪の今宮戎が有名だが本家は西宮神社で、室町の頃から漁業と商売の神として信仰されているそうだ。母の実家が西宮にあったので子どもの頃には十日えびすによく連れていってもらった。 えべっさんといえば「商売繁盛でササ持って来い」 (うまく表現できないがだいたいこんな感じのメロディで言う) の福ザサが有名である。 えびすは異民族をさす語なので元は日本の神様ではないのだろうが、えべっさんの釣竿に鯛を抱え込んだ姿はいかにも関西弁を話すような雰囲気があるうえ、漁業・農耕・海上交通・商売・勝負などご利益の範囲がやたらに広い。 今年こそ景気がよーなって商売繁盛するよう、たのんまっせ、えべっさん。 |