東京弁は感染るんです
「下らない」という言葉は、上方から江戸に下ってきたものではない、という意味なのだそうだ。
江戸時代には高品質の酒や醤油などが上方から江戸に下ってきたため、品質のよくなかった江戸周辺の品物は「下りもの」ではないという意味で「くだらない」という言葉になったらしい。 当時の江戸っ子は上方に劣等感をもっていたのだろう。 「関西人は東京に関してライバル心を剥き出しにして、・・・東京批判が多くて気分が悪い、云々」というアンケートの回答をもらった。 そんなつもりは毛頭ないと反論したいのだが、アドレスが書かれていないので返事のしようがない。 名前も「くたばれ関西人」とか書いてあって、これは先祖の劣等感の表れではないかと思ってしまう。 (書き方が失礼だったのでちょっと言ってみたかっただけです。)
神戸の友人から電話がかかってきた。
彼とは30年来の付き合いで、年に何度かは電話がかかってくる。 近況などを話していると、CADの話題が出た。 CADとは Computer Aided Design の略で、簡単に言えばコンピュータを使って設計することである。 彼は、CADのことを「ド」にアクセントを付けて、キャド(_  ̄)と発音する。 多分大方の関西人はこのように発音するのだろう。 しかし、私は「キャ」にアクセントを付けてキャド( ̄_ )という。 全く東京風の発音であるが、これは私が東京弁に感染したからではなく、初めて「キャド」という単語を耳にしたのが東京に来てからなので、最初に聞いた東京風の発音が刷り込まれているからなのだ。
浅草でもんじゃ焼きを食べながら、和気藹々と楽しく過ごしたオフ会の話題から。
焼きうどんはソースか醤油かで関西出身者と関東出身者で意見が分かれた。 関西組は焼きうどんも焼きそばと同じようにソース味が普通だと思っているのに対して、ソース味のかけうどんが考えられないようにうどんにソースは合わないと関東組はいう。 「ここが変だよ。関西人。ちょっと変ちゃう。東京人。」にも書いた、関西(大阪)人のソース好き、東京人の醤油好きが証明されたかのようで面白かったが、結局焼きうどんはやめて焼きそばを注文した。 焼きそばを醤油味にしようという提案はなかったが、中華麺に醤油は合わないのだろうか。
図書館で借りてきた「大阪府のことば」(日本のことばシリーズ27 明治書院)という本に、「大阪市特有のことばと、その使用実態」という章があって、ページを繰っていると「デン」という言葉が載っていた。
デン:(球戯などの)タッチ。折り返し点の壁などに触れること。「〜シテ カエル(=行くだけ行って、すぐ帰る)」 と書いてある。 確かに昔、鬼ごっこをして遊んだときに鬼が逃げる子にタッチすることを「デン」する、と言っていたことを思い出した。 「デン」は大阪市特有ではなく神戸市でも言っていたわけだが、それにしても「デン」が関西弁だとは今の今まで知らなかった。
日本のモグラは西と東で種類が違うのだそうだ。
西にいるのがコウベモグラ。神戸の名前が付いたモグラである。東にいるのはアズマモグラ。 東京弁が全国制覇しつつあるのに対して、モグラの世界では西に分布している大型のコウベモグラが東に住んでいる小型のアズマモグラを滅ぼしながら東に分布を広げているらしい。 コウベモグラは日本列島を勢力下に治めようと東進しているが、富士山と箱根の固い溶岩流がコウベの進出を阻んでいるそうだ。 だから、関東地方で見かけるモグラ(あまり見かけることはないが)はアズマモグラなのだ。 神戸の名前が付いているのでコウベモグラを応援したいところだが、アズマモグラが日本の先住民なので、単純に西のモグラを応援するわけにもいかない。 |