東京弁は感染るんです
関西人に「考えときまっさ」と言われてそれが遠まわしの断りだとわからず、ずっと待っていた東京人の話をよく聞く。
多分この表現はビジネスの場で多用されるのだと思うが、私は大阪の大学を卒業してすぐに東京の会社に就職したので、関西弁のビジネス用語を全く習得していない。 断るときは「ちょっとそれは無理ですねぇ」とか「そりゃできませんねぇ」とか、まるで東京人である。 今からでも遅くはないので、相手を傷つけない関西の断りの表現を身に付けなければと思う。
八百屋の店先で青梅を見かけるようになった。旨い梅干しは自家製に限る。
「いらんことしぃ」の私は肝心なことは適当なのだが、例えば梅干しを漬けるとか、HPをまめに更新するとか、別にどうでもよいことには熱心である。 この梅干し、普通は赤ジソを加えて赤く着色するが、塩だけで土用干しをして作る梅干しを関東干しと言う。関西人の私はもちろん関東干しの梅干しなど作らない。 調べてみると、梅干しの歴史は古いがシソで赤く染める様になったのは江戸時代に入ってからなのだそうだ。 関東人がシソをケチって関東干しなどという梅干しを作ったのだと思っていたのだが、そうではなく昔からの製法を関東人は守っていたのだ。
東京と横浜の位置関係は関西人の感覚からすると、大阪の西側に神戸があるように東京の西側に横浜があるような感じがするが、そうではなく横浜は東京の南にある。
地図を見ると一目瞭然なのだが、東京・横浜間では東海道線は南北に走っている。だから横浜駅では北口・南口ではなく西口・東口になるのだが、最初に横浜に来た時にはぜそう呼ぶのかわからなかった。 どこにいても山の見える方が北、海の見える方が南とわかる神戸で生まれ育った私は、東京に出てきて20年以上になるというのに未だこの感覚がつかめず、この辺りにくると方向感覚がおかしくなってしまうのだ。
頭ではわかっているはずなのに、「えっ?」と思てしまうことがある。
例えば、関東地方の天気予報でよく聞く「鹿行(ろっこう)地域」。関東以外の人には馴染みが薄いと思うが、鹿島アントラーズの本拠地である鹿島市や潮来のいたろうで有名な潮来市付近をいうらしい。 関西人の私は「ろっこう」と聞くとやはり「六甲」のことだと思ってしまう。 同じく天気予報で聞く「浜通り・中通り」。これは福島県の地域名なのだが、「浜通りには強風波浪注意報が。。。」と聞くと、神戸のポートタワーの前の海岸通りに強風が吹いている様子が頭に浮かぶ。 都営地下鉄の5300系電車。白い車体に赤と黒の帯を巻いて都営浅草線を走っている電車だが、この電車を見るたびに、よく似た塗装の山陽電車3000系が走っているような錯覚をしてしまう。 東京弁感染度が高くなっても、私はやはり神戸人である。
関東では犬がイル、猫がイルというが、関西では犬がオル、猫がオルという。
(大阪だけはイルという。上方落語でも「居てるかぁ? まぁ、こっちぃ入いりぃな。」からはじまる。) しかし、関東でも「います」と言うよりより「おります」と言ったほうが丁寧な感じがするし、改まった言い方をするときには「おります」と言うほうが普通である。 これは昔江戸に住んでいた人が文化水準が高かった関西の言い方にあこがれて、丁寧に言うときには関西の言葉の真似をしたことからきているそうである。 最近は東京でも関西弁が浸透してきているが、これは別に関西の言い方にあこがれているわけではないよね。
メロンパンのことを神戸ではサンライズと呼ぶと4/16の今日の症状に書いたが、町田のルミネの中にあるアンデルセンというパン屋でも「サンライズ」と書いてあるのを発見した。
四国松山の駅前にあったパン屋でも「サンライズ」と書いてあったが、あのパン屋もアンデルセンだったような記憶がある。 もし昔のパン屋のようにパンの名前を言って店の人に取ってもらう方式だったら「サンライズ」の東京進出が成功したかもしれない。 因みに、アンデルセンは広島に本社があるそうなの、どちらかというと関西系のパン屋である。
我が家(神奈川県)の近くの国道に「すてたらあ缶。なげすてい缶」という空き缶の投げ捨て防止キャンペーンの標識がある。
関西人の私でさえ車から一瞬見ただけでは最初なんのことだかわからなかったくらいなので(東京弁感染度が高くて反応が鈍くなっているだけかもしれないが)、関東の人に対してはあまり効果が期待できないような気もする。 「差別はいけん。守ろう人権。みんなの意見。笑顔いいけん岡山県。」 こちらは岡山のJRに貼ってあったポスターで、憲法週間に因んで岡山県教育委員会が作ったものである。 地元の人に地元の言葉で訴えかける標語は、なげたらあ缶よりもインパクトがあると思うのだがどうだろうか。 |