東京弁は感染るんです
当然といえば当然であるが、普段あまり使わない単語は東京弁に感染しにくい。
たとえば、「たいこまんじゅう」。 関東では今川焼き、関西では回転焼きとよばれているが、嫌いという訳ではないけれどもめったに食べることが無いので、私の頭の中では神戸で小さいときに使っていた「たいこまんじゅう」という言葉のまま変化していない。 一方よく使う単語、たとえば「たぬきそば」の場合、関東ではそばに天カス(揚げ玉)をのせたもの、神戸・大阪ではそばに油揚げをのせたものであるが (京都ではきざんだ油揚げをのせたあんかけそばをたぬきというらしい)、私の頭の中では完全に、たぬき=揚げ玉になってしまっている。 東京弁に感染するということはそれだけ頭を使っているということだろうか。(そんな訳ないね。)
出張で行っていた四国の宇和島の言葉はアクセントが関西弁とは少々異なっている。
しかしコンビニには阪神タイガース弁当が売られているし、うどんの出汁は薄味でおいしいし、お好み焼き屋は多いし、関西に帰ったような気分になれる。 宇和島の駅前には「たいこまんじゅう」を売っている店があった。 「たいこまんじゅう」は東京では「今川焼き」、大阪では「回転焼き」「巴焼き」、姫路では「御座候」(これは商品名やね)と言われるが、神戸の須磨では宇和島と同じように「たいこまんじゅう」と言っていた。 饅頭というと、宇和島のみやげ物に「唐饅頭」という中に柚子餡が入っていて、赤ん坊が食べる乳ボーロを巨大にして薄く延ばして硬くしたようなお菓子があるが、歯が丈夫でないと食べられないようなお菓子をなぜ饅頭というのか非常に不思議である。
Yahooに登録してもらい、なんと「今日のオススメ」にまで載せてもらったのだが、Yahooでの登録カテゴリーが、地域情報 > 日本の地方 > 関東 > 東京都 > 生活と文化 > 方言になっているのは気に入らない。
せめて関西 > 兵庫県に入れてもらいたかったのだが、東京弁感染が著しく関西人の間では仲間はずれにされていることを見ぬかれているようだ。 しかし「東京都はないやろ」と思う。東京弁といっても東京方言のことではなく、関西人が共通語のことをやっかみ半分で(やっかむはもとは関東の方言)東京弁と言っているだけなので、実際に東京の地域情報を探してここに来られた方には申し訳ないと思う。
ふとカレンダーを見ると今日は友引である。友引の日は友を引くというので、この日には葬式をしないらしい。
もう最近ではなんとも感じなくなったが、はじめて東京で葬式の花輪をみたとき、いったい何事かと思ったものだ。関西では花輪などを並べるのはパチンコ屋の開店の時だけなので、あの地味な色の花輪を見て何とも異様な感じがしたのだ。 関東では昔からあのような不思議な習慣があったのだろうか。 関西ではシキビ(シキミ)を並べ、そのひとつひとつに供えた人の名前が書かれた白木の板をつけて白い布で覆う。 30年先か40年先か自分ではわからないけれども、自分の葬式にあの花輪だけは止めて欲しいと思う。
地方の人が東京にでてくると大方の人は東京弁を話すようになるが、関西人は堂々と関西弁を使う。
最近の調査では、首都圏の若者の間で関西弁がかなり浸透しているらしい。吉本のお笑いだけでなく関西出身の歌手やアイドルの活躍もあって、関西弁に対しては「暖かい感じがする」とか「関西弁で励まされると元気が出る」とか「おもしろい」とかなりのひとが好感を持っているようである。 関西弁は盛り場で人気が高いという説もある。関西人が二人いるとそれだけで漫才になって場を盛り上げてくれるので東京弁を話すよりもモテるというのだ。 そうか、最近モテなくなってきたのは東京弁の感染が進んだからに違いない。
神戸の実家からいかなごの釘煮が送られてきた。
いかなごの釘煮はいかなごの新子を甘辛く姿を釘のように炊き上げたもので(関西では煮ることを普通炊くという)、酒の肴やご飯によくあう。 釘煮にするにも水揚げから半日が限度と鮮度が勝負だそうで、瀬戸内近海の須磨・明石ならではの春を告げる季節料理である。 須磨・明石近辺では普通の家庭でも1kg2kgと作る家が多い。 関東ではこうなご(小女子)と言い、小女子というとちりめんじゃこやしらす干を連想してしまうが、ちりめんじゃこは鰯の稚魚でいかなごとは別の種類の魚である。 東京弁に感染してしまった神戸人としては、この時期いかなごの釘煮をたべるとリハビリができた気になれる。 |