東京弁は感染るんです
今朝、日テレの「所さんの目がテン!」という番組で、大阪うどん薄味の謎というのをやっていた。濃口醤油と薄口醤油の違い以上に、関西と関東では水の性質による違いがあるらしい。
関西の水はミネラル分の少ない軟水、関東のはミネラル分が多い硬水系で、硬水では旨み成 分が溶け出しにくいので、例えばうどんのつゆでは魚のだし取り時間が長くなり、匂いもきつくなって関西人に嫌われるのだそうだ。
関東人はうどんのつゆを残し、関西人は飲み干すとも言っていたが、関西のうどんのつゆは美味いから最後の一適まで惜しんで汁をすするのは当然である。東京弁感染が進行しても、やっぱりうどんは関西である。
出張で松山に行った。松山は「坊っちゃん」と道後温泉が有名で、泊まったホテルにも部屋に「坊っちゃん」の文庫本が置いてあった。市内を古い路面電車が走っていて、のんびりとしたなかにも活力の感じられる雰囲気の良い町である。
愛媛県の北東地域は京阪式アクセント(いわゆる関西弁)、南西地域は東京式アクセントが使われるようである。松山市内で食事をした店で、となりにいたグループが関西弁を話していたので、どこから来たのかたずねたら、地元の人だという。よく聞いてみると、たしかに京都・大阪のことばとは違うのだが、久し振りに生の関西弁を聞いて、リフレッシュできたような気がした。(会社の人が見てたらまずいんではっきり書いておきますが、ちゃんと仕事はしてきました。)
久し振りに京急に乗った。東京の私鉄はどれもこれもやけにノロノロと走るが、京急だけは関西の私鉄を彷彿とさせるように高速走行をする。この京急に追浜(おっぱま)という駅があるが、いかにも関東の駅といった感じの読み方である。関西人なら「おいはま」と読むに違いない。
日暮里(にっぽり)、御徒町(おかちまち)、御茶ノ水などもいかにも東京弁風な駅名である。
神戸の山陽電車に板宿(いたやど)という駅があるが、大抵の東京人は「いたじゅく」と読む。神戸の北に三田(さんだ)という所があるが、これも「みた」と読んでしまうだろう。
板宿は実家に近いのでさすがに「いたじゅく」とは思わないが、三田という文字を見るとまず「みた」という音が頭にうかんでしまう。東京弁感染の進行も著しい。
こういう場合「とれとれ」というのが普通ちゃう?とウチのに聞いてみたら、「とれとれ」なんて言わないという。
「♪と〜れとれ、ぴ〜ちぴち、蟹料理〜」という関西で有名なCMソングが最近では東京でも流れているので、「とれとれ」は標準語だと思っていたが、標準語では「とれたて」なのだそうである。
できたてはほやほや、魚はとれとれでないとね。
「あじさい」といっても梅雨に咲く花ではない。山手線などの駅構内にある立ち食いそば屋の名前である。
このそば屋では「関西風」のつゆがオプションで選択できると張り紙がしてあり、気にはなっているのだが「関西風」つゆのうどんを食べたことがなく、また注文している人を見たこともない。
久し振りに都心に行く所用があったので、今日こそは「関西風」つゆのうどんを食べようと思っていたのだが、気がつくといつものそばを食べていた。
東京で最初に黒いつゆのうどんを食べたときの印象があまりにも強烈だったので、東京ではうどんを食べるものではないということが刷込まれているのかも知れない。
小さい頃はとろろ昆布の甘酸っぱい味から「酢」うどんだと思っていた。
関東では素うどんとは言わない。かけうどんである。東京に出てきた頃、話には聞いていたが実際にうどんの真っ黒なつゆを見て驚いたものである。駅の立ち食いそば(関東では立ち食いうどんとは言わない)では大半の人がそばを注文する(そばやだから当然か)。 関西ではやはりうどんの方が多いのではないだろうか。
今でもうどんだけは関西風でないと食べる気がしないが、そばは東京風の黒いつゆのほうが 美味いと感じるようになってしまった。
言葉だけではなく味覚のほうも感染進行中である。
関東煮(かんとだき)が美味くなる季節がやってきた。この関東煮という言葉、真っ先に東京弁に感染ってしまった言葉の一つで、夏神戸に帰ったとき海の家で「関東煮」と書いてあるのを見て、「あぁ、そうか。おでん言うたら東京弁やん」と改めて思いだしたくらいであるから、おでんに関しては完全に末期症状である。
おでんは関西弁も東京弁も同じアクセントで発音するので余計始末におえない。
東京のおでんには、関西人には馴染みのないものが入っている。「ちくわぶ」と「すじ」である。
「ちくわぶ」は小麦粉でできた竹輪のまがい物と言う感じの食べ物で、「すじ」は色の白い魚肉ソーセージの親戚といった感じである。
。。。ということは、やっぱり「おでん」と「関東煮」は別物かも知れない。
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