東京弁は感染るんです


関西弁基礎講座 第12講

大阪のしゃれ言葉

大阪のひとはシャレ好きだが、最近では大阪人でもシャレをいうひとも少なくなって、気の利いたシャレが聞けるのは今や上方落語の中だけになってきている。
忙しくてシャレを言う暇もなく、またシャレを楽しむ心の余裕もなくなったということだろうか。
講談社学術文庫の「大阪ことば事典 牧村史陽編」には大阪のシャレ言葉がまとめられてるが、明治時代のシャレは解説を読んでも何のことだかわからないものもある(それこそシャレにならない)。
関西弁基礎講座 第12講では、今でも通用すると思われるシャレを紹介する。

(参考文献:「大阪ことば事典」 牧村史陽編 講談社学術文庫, 「上方ことば語源辞典」 堀井令以知編 東京堂出版)


行 行 行 行 行 行 行 行 ら・わ

あ行
あかごのぎょうずい(赤子の行水)で タライ(足らい)で泣いている (金などが)
あかごのしょんべん(赤子の小便)で ややこ(赤ん坊)しい(小便)
あきやのせっちん(空き家の雪隠 便所)で 声(肥え 肥料)なしや (言うすべもなし)
あまけのたいこ(雨気の太鼓)で なり(鳴り)が悪い (身なりが悪い)
あまけのほっさん(雨気の星さん)で ちらほらや (雨天の夜空に星はまれ)
いかき(ざる)にしょんべん(小便)で とんとたまらん
いしがきのうなぎ(石垣の鰻)で 手が出せぬ
いしのじぞうさん(石の地蔵さん)で 座りがええ (安定している)
いもとのよめいり(妹の嫁入り)で 値(ねぇ 姉)と相談
いりぐちのくものすぅ(入り口の蜘蛛の巣)で 顔にかかる (顔にかかわる)
うえきやのせりいち(植木屋の競り市)で 気ぃ(木)が多い
うさぎのとんぼがいり(兎のとんぼがえり)で 耳が痛い
うしのおいど(牛のおいど(尻))で 物知り(モウの尻)
うどんやのかつお(饂飩屋の鰹)で 出し抜かれた(先をこされた)
うどんやのかま(饂飩屋の釜)で 言う(湯ぅ)ばっかり
おおかみのきんたま(狼の金玉)で いらい手がない
おてらのいろごと(お寺の色事)で どう(堂)でもええ(どうでもかまわぬ)
おにのしがい(鬼の死骸)で 引き取り手がない
おんなにふんどし(女に褌)で くいこむ一方や(赤字続き)


か行
かいこのしょんべん(蚕の小便)で 詳しい(桑しぃ)
かなづちのかわながれ(金槌の川流れ)で 頭が上がらぬ
きんぎょのさしみ(金魚の刺身)で きれいでも食えぬ
くろいぬのおいど(黒犬のおいど(尻))で 面白う(尾も白う)ない
こえくむときのへぇ(肥汲むときの屁)で さっぱり応えん(何を言っても頼りない)
ごんごどっくり(五合徳利)で 一生(一升)詰まらん
こんにゃくのきのぼり(蒟蒻の木登り)で 震いあがる




さかなやのごみばこ(魚屋のごみ箱)で 改まって(アラ溜まって)ござる
さるのしょんべん(猿の小便)で 気ぃ(木ぃ)にかかる
さるのびょうき(猿の病気)で 聞き(キキ)づらい
さんしょのめし(山椒の飯)で 着の身着のまま(木の実木の飯(まま))
しこくのひでり(四国の日照)で 慌てる(阿波照る)
しんだねこのこ(死んだ猫の子)で ニャンとも言わぬ
すしやのあら(寿司屋のアラ)で とんと身が無い(内容が無い)
すずめのいろごと(雀の色事)で チョイのせや (ほんの瞬時で終わる意)
せなかにぼたもち(背中に牡丹餅)で 追剥ぎ(おいはぎ 負い萩)
せんちばのかじ(便所の火事)で やけくそや


たけやのかじ(竹屋の火事)で ポンポン言う
たぬきのきんたま(狸の金玉)で また一杯(股いっぱい、おかわり)
どびんのくち(土瓶の口)で 横から口出す


なつのはまぐり(夏の蛤)で 見ぃくさって買いくさらん(身ぃ腐って貝腐らん
 見るだけで買わない)
ぬりばしにとろろ(塗り箸にとろろ)で 一向にかからん(騙されない)


はたけのらかんさん(畑の羅漢さん)で 働かん(はたらかん)
はちがつのやり(八月の槍)で ぼんやり(盆槍)
はなびやのかじ(花火屋の火事)で ドンくさい
はやらぬとんや(はやらぬ問屋)で 似つかぬ(荷ぃ着かぬ)
へたなしょうぎ(下手な将棋)で 金銀持って苦しんでる
へたなだいく(下手な大工)で 飲み潰し(鑿つぶし)


まくしたのばんづけ(幕下の番付)で チョボチョボ(ゝゝと、似たりよったり)
まるのじのてんおち(丸の字の点落ち)で 苦ぅ(九ぅ)になる
むじのはおり(無地の羽織)で 一文(一紋)なし
めのないのこ(目のない鋸)で 切っても切れん


やけあとのバラック(焼け跡のバラック)で 変わらない(瓦ない) (服装などが)
やけたいなりさん(焼けた稲荷さん)で 取り柄(鳥居)がない
やかんでゆでたたこ(薬缶で茹でた蛸)で 手も足も出ん
やっつのこぉ(八つの子ぉ)で 開けたら臭い(九歳)
やぶれしょうじ(破れ障子)で 骨ばっかり (痩せて)
やもめのぎょうずい(寡男の行水)で 勝手にゆうとれ(湯ぅとれ)
ゆうれんのおてうち(幽霊のお手討)で 仕甲斐(死骸)がない
よあけのあんどん(夜明けの行燈)で うすぼんやり(うすのろ)
よあけのゆうれん(夜明けの幽霊)で いつの間にやら立ち消えや

ら・わ
りんびょうやみのしょんべん(淋病病みの小
便)で
出そうで出ん
わかえやのまえだれ(輪替い屋の前垂れ)で 忘れた(輪ぁ摺れた)



まぁ下ネタの多いこと。。。
この「大阪ことば事典」にはこんなシャレが300以上も載っています。
(さすが学術文庫やね)






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