東京弁は感染るんです
個人差や年代の差にもよるが、関西弁の特徴として、擬態語が多く使われることと助詞が省略されることがあげられる。
ここでは実際の会話で擬態語が使われる例と助詞が省略される例を紹介する。 【関西弁】 「お好みはやっぱり、ドロぶわーかけたほうがうまいでぇ。」 「あ、うち辛いヤツあかんねん。こっちの甘口にしとくわ。」 【東京弁】 「お好み焼きにはやっぱり、この辛いソースをいっぱいかけたほうがうまいぞ。」 「あ、わたし辛いのだめなの。こっちの甘口にしておくわ。」 【解説】 ●「お好み」:「焼き」を省略して言うことが多い。(例)お好み食いにいこか。 ●「ドロ」:ドロソース。辛口のお好み焼きソースのこと。 ●「ドロぶわー」:辛口ソースをいっぱいの意味。ドロ(ソースを)ぶわー(と)。 ●「うち」:(女性語)最近はあまり言わないようである。 【関西弁】 「きのー風びゅー吹いとったやん。そやから干しとった洗濯もん飛ばされてもたわぁ。」 「あほやなぁ。ちゃんと洗濯バサミでとめとかなあかんやん。」 (〜しとったは神戸弁。大阪弁では吹いてたやん。) 【東京弁】 「きのう風がすごかったじゃない。だから干してた洗濯物飛ばされちゃった。」 「だめじゃん。ちゃんと洗濯バサミでとめとかなきゃ。」 【解説】 ●「風びゅー」:風(が)びゅー(っと)。「が」も「と」も省略されている。 ●「あほやなぁ」:東京弁で言う「だめじゃん」ぐらいの意味。馬鹿にしているのではない。 【関西弁】 「この辺にコンビニあります?」 「そこのしんご右ぃまがってびゅー行ったらありますわ。」 【東京弁】 「この辺にコンビニありますか?」 「そこの信号右に曲がってまっすぐ行ったらありますよ。」 【解説】 ●「しんご右ぃ」:信号を右に。 ●「びゅー行ったら」:東京弁では普通こんなところに擬態語は使わない。 ●「ありますわ」:男性も終助詞の「わ」を普通に使う。 【関西弁】 「雨ザーゆうてふってきよってん。」 「きのーの雨ごっつかたったからなぁ。」 【東京弁】 「雨がザーって降ってきたんだよ。」 「きのうの雨はすごかったからなぁ。」 【解説】 ●「ザーゆうて」:「ゆうて(言って)」。雨が喋るわけではないがこの様に言う人も多い。 ●「きよってん」:「〜きてん」よりも「〜きよってん」のほうが迷惑感が強い感じがする。 ●「ごっつかった」:すごかった。 【関西弁】 「そんなおしょぉーゆーばーかけたらあかんやん。」 「そやかて、これ味無いねんもん。」 【東京弁】 「そんなにお醤油いっぱいかけたらだめじゃない。」 「だけど、これ味が薄いんだもん。」 【解説】 ●「そんなおしょぉーゆー」:そんな(に)お醤油。 ●「おしょぉーゆー」:醤油を「おしょゆー」とか「おしょぉーゆー」(「ゆ」にアクセント)と言う人とは多い。「お」をつけない場合は「しょ」にアクセントが来る。 ●「ばーかけたら」:ばー(っと)かけたら。東京弁では「ドバーってかけたら」か。 ●「味無い」:「味が無い」の意味では「あじ」と「い」にアクセントがきて「な」を低く発音する。「味が薄い」の意味では「あじ」にアクセントがきて「な」と「い」を低く発音する。ここでは後者。 【関西弁】 「さっきまで晴れとったのに。雨だーふっとうわ。」 「ほんまや。この傘もっていきぃ。」 (晴れとった、ふっとう、は神戸弁。大阪弁では晴れてた、降ってる。) 【東京弁】 「さっきまで晴れてたのに。すごい雨が降ってるじゃない。」 「ほんとだ。この傘持ってくぅ?」 【解説】 ●「だー」:「ざー」とも言うが「だー」の方がより激しい様子を表している。 ●「もっていきぃ」:弱い命令形。ソフトな命令形では「もっていきぃや」とも言う。 例文は「きりん」さんに提供していただきました。 |