東京弁は感染るんです


関西弁基礎講座 第7講


関西弁の表現法(命令・尊敬・依頼)

【命令の表現】

例えば、大人が子どもにもう夜も遅いから早く寝るようにと促すとき、東京弁では 「もう遅いか
ら早く寝なさい」 と言うが、関西弁では 「もう遅いから早よ寝ぇー」 と言う。語尾を下げずに
「寝ぇー」 と言うと弱い命令表現に、語尾を下げて 「寝ぇ」 と言うと強い表現になる。語尾に
 「や」 や 「な」 を付けて、「寝ぇーや」 「寝ぇーな」と言うと少々ソフトな感じがする。「早く寝
ないか」 に相当する言い方は 「早よ寝んかぁー」 である。もっと強く命令するときは、東京弁
と同じように 「寝ろ」 という。さらに強く脅迫的に言うするときには 「寝さらせ」 とも言うこと
ができるが、子どもを寝かしつけるときになにも脅迫することはないし、善良な関西人は他人を
脅迫するようなことはしないので、「寝さらせ」 とは言うことはまずない。

                                 (●^は高く発音する)
弱い命令
強い命令
ソフトな命令
さらに強い命令
〜しないか
脅迫
寝る
ね^ー^ ね^ー ね^ー^や^
ね^ーな
ね^ろ ね^ん^か^ー ね^さ^ら^せ
起きる
おき^ー^ おき^ー  おきや^ー^
おき^ーな
おき^ろ おきんか^ー おきさら^せ
行く
い^き^ー^
-
い^き^や^ー^
い^き^ーな
い^け い^き^ん^か^ー
い^か^ん^か^ー
い^きさ^ら^せ
帰る
か^え^り^ー^
-
か^え^り^や^ー
か^え^り^ーな
か^え^れ か^え^ら^ん^か^ー
か^え^り^ん^か^ー
か^え^り^さ^ら^せ
入る
はいり^ー^
-
はいりや^ー^
はいり^ーな
はい^れ はいらんか^ー
はいりんか^ー
はいりさ^ら^せ
出る
で^ー^ で^ー で^ー^や^
で^ーな
で^ろ でんか^ー で^さ^ら^せ
走る
は^し^り^ー^
-
は^し^り^や^ー
は^し^り^ーな
は^し^れ は^し^ら^ん^か^ー
は^し^り^ん^か^ー
は^し^り^さ^ら^せ
歩く
あるき^ー^
-
あるきや^ー
あるき^ーな
ある^け あるかんか^−
あるきんか^−
あるきさ^ら^せ
食べる
たべ^ー^ たべ^ー たべや^ー^
たべ^ーな
たべ^ろ たべんか^ー たべさら^せ
飲む のみ^ー^
のみや^ー
のみ^ーな
のめ^ー のまんか^ー
のみんか^ー
のみさら^せ

【尊敬の表現】

「〜しはる」という言い方が関西弁の尊敬語として有名であるが、実はこれは大阪弁であり、神
戸弁では 「〜しはる」 とは言わない。

大阪北部と神戸は同じ攝津地方ではあるが(大阪南部は和泉・東部は河内)、大阪では 「居
る」 と言うのを東京弁と同様に 「いる」 (または 「いてる」) と言うのに対し、神戸では 「お
る」 と言う。

したがって、○○さん、いらっしゃいますか? を大阪弁で言うと 「○○さん、いてはります
か?」 となり、神戸弁では 「○○さん、おってですか?」 となる。 「○○さん、おられます
か」 という表現は、神戸でも大阪でも使うようである。
「知っておられますか?」 は大阪弁では 「知ってはる?」 神戸弁では 「知っとって?」 と言
う。
ただし、 「置いとって」 は 「置いておられますか」 ではなく置いておけという命令形である。
神戸弁は難しいでぇ。。。(こりゃーもう、基礎講座の範疇超えてるね!))

【依頼の表現】

「そこを通らせてください」と頼むとき、自分が通して欲しいのに、「そこ、通らしたってーな」 と
か 「そこ、通らしたりーな」 と第三者の依頼のような言い方を関西ではよくする。ちょっと喧嘩
でも売ろうかと言うときには 「通らしたれや」 とか 「通らしたらんかい」 とも言うが、これは
自分がどうしても通りたいのであって、他人のために一肌脱ごうとしているのではないのであ
る。


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