東京弁は感染るんです
第1講で、関西では数を数えるときや、子どもが友達を誘うときに節をつけて言うことを述べたが、他には、子どもがはやし立てるときにも節をつける。
東京でも、「いーってやろ、いってやろー、せーんせーにいってやろ」と言うときに、節をつけるようであるが、関西では(正確には神戸・須磨では。その他の関西地方でも同様なはやし言葉が歌われているかどうかは知らない)はやし言葉がもっと高度である。
いたずらをした子と、いたずらっ子をだれかに言いつける子の間で、掛け合いが演じられる。
(楽譜をクリックするとMIDIで音が聞こえます。)
反撃された子は、ここで「拳骨買(こ)ーたんねん」と戦線布告し、殴り合いが始まるのである。
子どものころから、ボケとツッコミの訓練をしているようなものである。
童謡に「小鳥はとっても歌が好き」というのがあるが、喧嘩をするときまで歌を歌う関西人も、とっても歌が好きな人種かも知れない。
(そう言えば、大阪には「ウタワしたろかぁ!」と言う、非常に怖い表現があるが、これは決してカラオケに誘っているのではない。)
ついでに、
これは、特に節をつけて言うというわけではないが、子どもが草むらなどで立小便をするときに は「ミミズもカエルもごめん」と言ったものである。(もっと丁寧に言うときには「ミミズもカエルも皆(みな)ごめん」と「皆(みな」」を付けて言う。)
この呪文を言わなければチンチンが腫れると言われ、この呪文を唱えれば、万一ミミズに小便がかかってもチンチンが腫れるのを免れることができると言われていた。
さらに、
幼児が頭をぶつけたときなど「ちんころまじまい、ちんころまじない」と言って、頭を撫ぜてやるということもあった。東京で言う「チチンプイプイ」である。
(大阪ことば辞典[堀井令以知著 東京堂出版 平成7年9月10日初版])では「ち^んこのま^じ^な^い^」と書いてあったが、神戸・須磨では「ち^ん^こ^ろ^ま^じ^な^い^」と言っていた)
さらに、さらに、
鬼ごっこの途中などで、一時休止を申し出るときには「み^っき」と言った。東京弁の「タンマ」に相当する。(大阪ことば辞典では「みっき^」と言うアクセントになっていたが、神戸・須磨では
「み^っき」と言っていた。) |